飛距離アップ

FuncPhysioの高田です。今までの連載で関節や筋肉の「可動域」について多く触れてきました。そしてそれらはゴルフスイングをつくる上で基本になる最も大切なことです。関節が硬くスイング軌道が乱れていてはボールが真っすぐに飛んでくれませんし、ヘッドをボールに当てることすら難しくなってしまうからです。ですから可動域を向上させるというのはゴルフスイングをよくする上で最重要課題であることに間違いありません。しかし今回はちょっと視点を変えて私がよく受ける質問「飛距離アップにはどうしたら良いのか?」について考えたいと思います。答えは簡単ですヘッドスピードを上げれば良いのです。そしてヘッドスピードを上げる為に必要なのがパワーです。

パワーとはなんでしょう。物理的に言えば筋力×スピード=パワーです。筋力とはどれだけ重いものが上げられるか、どれだけ強い力で引っ張れるかという 力のことを言います。スピードはいかに速くAからB地点まで動けるかということです。このパワーがヘッドスピードの源になり、飛距離につながっていきます。

筋力アップのトレーニングは皆さんよくご存知の筋トレです。ウェイトトレーニングやマシーンを使ったトレーニングがその代表です。私の経験上、一般的なゴルファーにおいて筋力不足でヘッドスピードが出ないという方は少ない気がします。そもそもゴルフに必要な筋力はあまり大きなものではありません。私を例えて言うと、私は平均的な日本人の体格で、ドライバーの平均飛距離は250ヤードぐらいです。一般的なアマチュアにしては飛ぶ方だと思います。そのために必要な腕の筋力は、腕立てが数回できるぐらいあれば十分ではないでしょうか?実は私も一時期飛距離アップのために 筋トレに励んだ経験がありますが成果は無かったです。 要するに 飛距離アップのためのパワーを上げる際、必要なトレーニングは筋トレではなく、スピードを上げるためのトレーニングがより大切だということです。

では、スピードを上げるためのトレーニングとはなにか?ここでは一つその方法を紹介しましょう。必要なものはバドミントンのラケット。無ければハエたたき、軽い棒、ヘッドの付いていないゴルフシャフトなど軽くて振りやすいものであればよいです。これを片手ずつ3−5回振り(図1、2)、両手で3−5回振りましょう(図3)。ポイントは思いっきり速く振ることです。フォームなど気にせずに全力で振りましょう。そしたらゴルフクラブに持ち替えて同じように片手ずつ、そして両手で3−5回全力で振ります。反対側の方向にも同じように繰り返します。軽いものを速く振ることによって身体が速く振るという感覚を覚えていきます。その感覚のままゴルフクラブを振ることによってクラブも速く触れるわけです。

飛距離を伸ばしたいのならヘッドスピードを上げるためにパワーが必要です。そしてパワーを上げるためにはスピードを上げなければなりません。スピードを上げるには軽いものを速く動かすのが効率的ですので、上述したトレーニングを行ってみてください。きっとヘッドスピードが向上するはずです。*注意:中には筋力が弱くパワーが出ない方もいます(特に女性に多い傾向)。 一度専門家にチェックしてもらい適切なアドバイスを受けるのも上達への近道です。

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