FuncPhysio 代表 高田洋平「健康エイジング」の勧め(2)

第二回:私は組織の疲労的損傷を以下の要素と考えています。

1、遺伝的要素:炎症が起こりやすさというのは遺伝的要素もあります。例えば同じ負荷をAさんとBさんの筋骨系組織に加えた場合、炎症が起きる度合いというのは全く違ってきます。炎症が起きてもサッと引いて組織回復が早い人とそうでは無い人では蓄積されるダメージが違ってきて当然です。遺伝はその他にも栄養の吸収や筋肉の柔らかさ硬さなどいろいろなことに影響が出ます。残念ながら遺伝的要素に関してはどうにもなりませんので、理解した上でどの様に付き合っていくかを考えるべきです。皆がやっているからとか、テレビなどで紹介されていたからといった情報を鵜呑みにして無理をするのは賢明ではありません。

2、栄養的要素:人間は食べ物から栄養を摂取し自身の体の形成、恒常性を保っています。栄養失調はもちろんのこと、例えば、水分補給が足らず常に脱水症状に近い組織では壊れやすく回復もしづらくなってしまいます。また意外と自分の持っている食物アレルギーに関しても知らない人が多いです。例えば日本人は乳製品に対してアレルギーを持っている人が大半です。ただ少量であれば大した症状が出なかったり、また症状が出ても肌が荒れる程度だったりで症状を自覚している方は少ないと思います。しかし、少しずつでも体の中で炎症が起きていますので組織損傷を引き起こしています。

3、ストレス的要素:現代社会はストレス社会です。学校、仕事、家庭、コミュニティーなど生活をする中で精神的ストレスもかなりなものです。こうしたストレスは自律神経を乱します。そしてホルモンバランスが崩れたり、筋肉硬直を引き起こしたりして肉体的影響を及ぼします。精神的なストレスが溜まると肩が凝ったり、動悸がしたり、頭痛がしたりするのはこうした理由が背景にあったりします。さらに仕事などで何時間もパソコンの前に座ることを強いられると直接的な肉体的ストレスも大きいですよね。精神的、肉体的ストレスを長いこと貯め続けると知らず知らずに体の回復が遅れ、損傷が蓄積されていってしまいます。

4、運動的要素(エクササイズ):いかに健康的に運動機能を保ちながら歳を重ねていくかということに対して運動的要素は不可欠になってきます。長い目で普段からどのように体を動かすということに向き合うかということを真剣に考える時代だと考えます。健康エイジングの取り組みをする上で、遺伝的な要素も考慮し、自分のライフスタイルに合ったエクササイズをどう生活に取り入れていくかは千差万別です。残念ながら「運動は良いこと」とコマーシャル的に勝手な認識が広がり、無差別なエクササイズプランが蔓延してしまっています。または外見的要素で「健康的」「非健康的」といった間違ったイメージが作られていることも懸念しています。新陳代謝をうまく保ち、疲労的損傷を残さず、健康的な組織、さらには運動能力を保ちためのエクササイズは一人一人違います。以前受講したセミナーで「Exercise is bad for you」とコメントした医師がいました。当時は馬鹿げたことを言っていると思いましたが、最近は非常に 納得がいきます。下手にエクササイズをしてしまうと怪我や、関節のダメージ、組織ストレスの蓄積につながり決して良いことだとは考えていません。エクササイズ勧められる理由にBMI(Body Mass Index)や体脂肪率があります。しかしこうしたものも一定の基準がありにはなりますが、それに囚われるものでもありません。自分にとってベストなバランスというのはこうした基準では測れるものではありません。むしろ無理してBMIを変化させたり、体脂肪率を急激に落としたりする方が害だと私は考えています。

次回号では

さて、運動的要素にマトを絞って健康的に運動機能を保ち歳を重ねる人とそうで無い人との差はなんなのか? いくつかのトピックスに分けて話を進めていきたいと思います。

  1. 運動(エクササイズ)の種類
  2. エクササイズの量(頻度・負荷)
  3. エクササイズのバランス
  4. 自分の体に耳を傾ける
  5. 効率的な身体とは
Augusta National, Masters Club House