夏が終わり、そろそろ今年のゴルフシーズンも終わりですね。寂しい気もしますが、シーズンオフはゴルフ上達のチャンスです。スイングの変更、身体能力の改善には時間がかかります。さらに、クラブセッティングを変えたり、新しいクラブにアップデートするにしてもスコアが気になるシーズン中より、じっくりと時間をかけ調節できるシーズンオフが向いています。そのため、プロなどは シーズン終盤からシーズンオフにかけ、そうしたことにじっくり取り組み、次シーズンに向け準備しています。

また私の専門であるスポーツサイエンスの視点から見ても、シーズンオフ期間はとても重要です。まず、慢性的な怪我の治療、怪我の起こりにくい体作りのトレーニングはシーズンオフにしか出来ないといっても過言ではありません。例えば、膝が痛い、肘が痛いなどのゴルフにおける慢性的な怪我は、ボールを打つ(たとえ月に数回でも)シーズン中にはなかなか治しづらいものだからです。また、スコアアップや飛距離アップの土台づくりもこの期間に行うと効率が良いです。 ボールを打つ機会やコースに行くことがが減る分、目先のスコアの結果にとらわれず、ジムなどで集中して自分の身体能力の欠如を直すことができるからです。私も自分でゴルフトレーニングプログラムを組み、欠如を克服すべく実践した所、翌年のシーズンには飛距離、スコアが目覚しく向上しました。

さて、シーズンオフの活用の重要性を強調したところで、ここでシーズンオフのトレーニング例をご紹介したいと思います。個々人の身体能力に基づくトレーニングプログラムを一つ一つ紹介するのは不可能ですので、今回は誰もが必要である基礎体力、すなわち心肺能力、持久力についてお話したいと思います。

ゴルフに持久力などいらない、という方もいると思います。しかし、ある実験によると健康的な中高年男性が勾配のあるコースをプレーする際(カート不使用)、心拍数が平均値で130beat/minあたりまで上昇する結果がでています。これは、私(30代)が軽くジョギングを10分程度する時の心拍数と同じ程度の運動量です。チョッと砲台グリーンの傾斜を登るだけで息が切れてしまい、その後のパター時まで息切れしてしまうなどの経験がある方は、基礎体力がかなり低下しているので要注意です。

また歩き疲れ、後半になると膝が笑ってしまったり息切れするのでは、いくら素晴らしいスイングのプレーヤーでも良いスコアにはつながらないでしょう。

確かに今日では乗用カートの使用が多くなり、その場合、持久力はそこまで必要なくなるのも事実です。しかし、USオープンが開催されたベスページ・ブラックなどのチャンピョンシップコース等、未だに乗用カートの使用が禁止されている所も少なくありません。「乗用カートが使用出来ないコースはプレーしない」、といってしまうとあまりにもゴルフの楽しみの幅を狭めてしまう気がします。また、アマチュア大会では乗用カートの使用を禁止しているこが多いです。向上心の高いプレーヤーであれば、やはりどこかで持久力というものを無視出来なくなるものです。

さて、ゴルフにおける持久力ですが、マラソンなどの継続的運動とは少し違っています。ゴルフは高負荷の断続的運動、つまり、激しい運動量と比較的低い運動量が繰り返し行われるスポーツです。

ですから、ジムに行きトレッドミルやバイクなどを一定的なスピードで長時間行うトレーニングは、ゴルフに限って言えば、適しているトレーニングではありません。また、30分-1時間も持久力だけに費やすのは、時間の限られている方には効率が良くありません。

そこで、ゴルフに適した、もっと簡単にできる素晴らしいエクササイズ方法を紹介したいと思います。

縄跳びです。

誰でも小学生の時行った遊びですが、優れた点をいくつも持っています。まず、ゴルフに必要な持久力に加え、怪我の予防、飛距離アップなどに役立つ肩のインナーマッスルのトレーニングや、飛距離を伸ばすためのヘッドスピードアップにもなります。また、トレーニングは1日10分程度で効果が得られるので、忙しい方にもお勧めです。縄自体安価で、持ち運びも簡単。広いスペースもいりません。

ただ、一つ注意。跳び方をゴルフ用に合わせて、高負荷と低負荷のインターバルを持たせることが重要です。以下を参考にしてみて下さい。

行い方

ポイント1:縄跳びをする際は常に全力で飛ぶ(出来るだけ速く)。

ポイント2:自分の持久力に合わせる (初めは10秒間、縄跳びをするのが精一杯かもしれません。20秒、40秒と徐々にそのタイムを増やしていけばよいです。

ポイント3:飛ぶ時間と同じ時間だけ休憩と取る。例、30秒間縄跳びを行ったら、30秒間休憩。

ポイント4:足を真直ぐ向けた状態、内股に向けた状態(図1)、外股に向けた状態(図2)、さらには片足を内股片足を外股(図3)、と股関節の角度に様々なバリエーションを加えて行う。また、両足で飛んだり、交互にステップ(図4)をしながら飛んだりとバリエーションを入れる。もし二重飛びなどが行えるのであれば行っても良い。

これを10分間行う。

今年のシーズンオフから是非気軽に始めてみてください。他のトレーニングと兼ね合わせる場合、準備体操として取り入れるのもお勧めです。継続的に続ければ5ヶ月後には大きな違いが出てくるでしょう。

注意 心肺器官に問題がある方は医師に相談してから行ってください。