バランス
日本人のさらなる活躍を願うロンドン五輪。残念ながら現在ゴルフは五輪種目ではありませんが、2016年リオデジャネイロ大会から五輪正式種目となります。われわれゴルフ愛好家には新たな楽しみができますね。
ロンドン五輪で体操選手の活躍を観戦していましたが、その卓越したバランスにはいつも驚かされます。そこで今回はそのバランスについて書いていこうと思います。ゴルフにバランス?と思われる方もいると思いますが、非常に大切な要素です。始めに、バランスとは何か、次になぜゴルフにバランスが必要か、そして最後にバランス欠陥によって生じるスイングの問題の順にお話ししたいと思います。
そもそもバランスは、バランス感覚とバランスを保つ為に必要な筋力•運動神経によってコントロールされます。バランス感覚とは三半規管、視覚、固有受容感覚(身体内部の状態、筋腱の長さ、関節の位置などの感覚)などの情報から頭が自分の位置を空間の中で知ることです。そしてバランスを保つためには筋力、運動神経、反射神経などが必要となります。例えば図1のテストをしてみてください。
きちんとゴルフクラブ、骨盤を平行に保ち、真直ぐ立っていられたでしょうか?きちんと行うためには、バランス感覚そしてそれを保つ筋力が必要となってきます。もし立っていられるけど、棒や骨盤を平行に保てないという方は、バランス感覚は良いのかもしれませんが、体を水平に保つだけの筋力・運動神経が欠けている可能性があります。逆に片足立ちをすることすらままならないという方は、バランス感覚自体に問題があるか、または筋力・運動神経のどちらかまたはどちらかに問題があると考えられます。
次に、なぜバランスがゴルフに大切なのでしょうか?ゴルフスイング中、体重の流れをみると、バックスイングでは右足に体重が移動し、フィニッシュでは左足に体重を乗せます。これはスイングのタイプやセオリーに関わらずゴルフスイングの基本です。また上級者になればなるほどこの体重移動が激しく、早く行われます。野球のスイングですが、イチロー選手の振り子打法がイメージとしては良い例ではないでしょうか(図2)。
体重移動の際、バランスが悪く上手く体重を片足に移動できない場合場合、どのようなスイング問題が生じるのでしょうか? 二つ代表的なスイング問題は、Reverse Spine Angle(図3)そしてスウェイです。体重がバックスイングで上手く右足に乗らず、スイングの軸が左足に残ったままになってしまい、トップスイングで体が突っ込んだ状態がReverse Spine Angleです(スタック・アンド・ティルト打法などのセオリーもありますが、実際のスイング中には体重移動はしっかりされています)。スウェイは、体重移動は出来ているものの右足に上手く体重が乗せることが出来ず、トップスイングで体が流れてしまう問題です。また、フィニッシュが定まらずフラフラする、フィニッシュで体重が右足に残ったまま(いわゆる“明治の大砲“)などの問題もバランスが悪いと引き起こされる問題です。
バランスが悪いとゴルフスイングの問題だけでなく、関節によけいな負担をかけ、痛みや身体にダメージを引き起こす問題にもつながります。バランスはトレーニングをすると誰もが必ず向上させることが出来るので普段から心がけましょう。
どのようなバランスエクササイズをすれば良いかは、人それぞれですが、成功できる程度でチャレンジが十分ある程度のレベルが良いでしょう。例えば、テストで行ったSingle Leg Stance Balanceが難しいと感じるけどなんとか出来る、というのであればまずそこから練習を始めましょう。そして徐々に難しさを増していくのが良いでしょう。例えば、目をつぶって行ってみるなどは難度を上げる一つの要素です。
図1Single Leg Stance Balnce
両足で立ち、クラブを肩の上に乗せ平行にします。その位置から片足を股関節の高さまであげましょう。クラブ•骨盤を平行に保ち、身体をすくめることなく行えれば合格です。
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