第二弾:ストレッチの問題点。
Func-Physioの高田です。前回の筋トレの問題点の話は大変反響をいただきました。今回は筋肉を引っ張って伸ばす静的ストレッチについて考えていきたいと思います。 一般的に筋肉が良く伸び「体が柔らかい」という状態は健康的だと認識され、ストレッチをすることはいかにも健康的な運動に捉えられがちですが本当にそうでしょうか?私のクリニックにも過度なストレッチ運動によって身体を痛めたクライエントが多く訪れます。
まず 筋肉の長さとは何か考えてみましょう? 成人の筋肉の長さというのは細胞の数で 決まってきます。「健康的」な筋肉の長さというのはこの細胞の機能範囲で伸び縮みできる状態を指します。逆に言うと 細胞数を増やさない限り 筋肉が長くなるということはありえません。そしてストレッチで細胞数を増やすことは不可能なのです。
確かにストレッチをしたり、筋肉を温めたりすると一時的に組織が伸びます。ただそれは一時的なもので、次の朝起きてみると結局は元に戻ってしまうわけです。 過度なストレッチを繰り返すと実際筋肉が長くなっていきます。しかし筋繊維や腱などを細胞レベルで破壊し、意図的に肉離れを起こしているだけです。ですので健康的な柔らかさではなく、不健康的に伸びきった状態といった方が良いでしょう 。
さて過度のストレッチで「健康的」な筋肉の長さを超え、筋肉が引き伸ばされた場合以下の問題点が起きます。
問題点1、パワー出なくなる
そのメカニズムはここでは詳しく書きませんが、要するに筋肉が伸びきったゴムのようになってしまい力が出なくなってしまうのです。せっかく身体が柔らかくなってもそれがヘッドスピードに結びつかなければ意味ないですよね。
問題点2、関節を痛める
人間の骨格というのはその形状から行える可動域が決まっています。通常は筋肉、靭帯、関節胞などで可動域を制限しているわけです。しかし過度のストレッチによりそれらの組織をのばし過ぎた場合関節に負担をかけることになります。
その結果関節周りの組織の損傷を起こしたり、早期の関節炎を引き起こしたりします。
問題点3、クセになる
上述したように無理なストレッチは細胞や腱を壊しています。ある種怪我ですので当然身体はそれを治そうとしますね。そうするとまた硬く感じます。だからまたストレッチをします。これを繰り返していくとストレッチを常にしていないと気が済まない、またはその柔軟性を保てないといった状況に陥ってしまいます。ダンサーなどでよく見かけますが、毎日のようにストレッチをしていないとその柔軟性が保てない、身体は柔らかいのに本人は筋肉が硬く感じるといった症状がある人は要注意です。
最後に、肩こりなどの対処法としてストレッチはよく使われますが、はっきり言ってあまり効果はありません。例えばダンサーなどで有り余る柔軟性を持ちながら慢性的な肩こりに悩んでいる方は非常に多いです。適度なストレッチは大切ですが、過度のストレッチはケガにつながる可能性がありますので気をつけてください。次回は健康的に柔軟性を得る方法を紹介します。
髙田洋平