今回は読者さんから頂いた、「グリップはストロンググリップの方が良いといわれたのだけど。。。変えたほうが良いのか?」という質問にお答えいたします。

図1one plane swing vs two plane swing

グリップのあり方は多種多様で、正しいグリップというものは存在しません。ただスイングタイプとグリップには確かに相性があり、それを理解することでグリップが選びやすくなるのも事実です。スイングとグリップの関係の理解の助けになればと今回おすすめしたい本がJim Hardyの’The Plane Truth for Golfers’です。この本ではゴルフスイングを二つのタイプ、すなわちOne Plane Swing(OPS)と Two Plane Swing (TPS)に分け、スイングタイプによって必要な身体能力、ゴルフスイングの要素が変わってくるということをわかりやすく説明しています(図1)。

スイングタイプに優劣はありません。ただ、それぞれにおいて必要とされる身体能力、肩や腕そして股関節などの使い方、アドレスやグリップなどの要素、練習方法が、根本的に異なるということです。ちなみにOPSの代表的な選手はAnthony KimやBen Hogan。TPSの代表選手は昔のTiger Woods, 石川遼選手などが挙げられます。どちらのスイングタイプがあなたに合うかは、身体能力やフィーリングによります。

図2体幹の捻転可動範囲テスト

図2のテストでは体幹の捻転可動範囲を測定していますが、これにパスできない場合は、非常に大きな捻転可動を求められるOPSを目指すのは賢明ではありません。逆にTPSは腕の可動範囲を要求されます。そのため腕が上がりづらいなどの方の問題がある方にはむいていないでしょう。もちろん、これらの身体能力はエクササイズによって改善されますから、これらが出来ないからといって、目指すスイングをあきらめるということではありませんよ。

さて、この本に従い、冒頭の質問に答えると、もしOPSを目指すなら、ストロンググリップ。TPSを志すならニュートラルからウィークグリップが良いと述べられています。もっとも、これはあくまでも基本であり、例えば腕の力が弱く軽量クラブでさえクラブが支えきれないというのであれば、ある程度ストロンググリップにしなければならないでしょうし、また個々の骨格の違いもありますから、それも考慮に入れなければなりません。

図1One Plane Swing(OPS)
トップスイングで、身体、肩のターンに対し、腕が同じラインまたは低い位置に収まる。
Two Plane Swing(TPS)
トップスイングで、身体、肩のターンに対し、腕のラインが高い位置に収まる。

図2 体幹の捻転可動範囲テスト
ヒザを閉じ椅子に座り、クラブを胸に当てます。骨盤やヒザを動かさないで左右に肩を回転させます。無理なく45度以上回らない場合は体幹の捻転可動不足。


ゴルフゲームについて by Katsumi Ohno, Pete’s Golf

このコラムが掲載される頃は、皆さんにとってゴルフシーズン到来という感じでしょうか。クラブフィッティングの私の仕事は5月までがピークでそれからは静かになっていきます。真冬の2月よりプロ及びトップ・アマなどの競技ゴルファーのフィティング、クラブ製作、調整からシーズンが始まり、4月から一般ゴルファーで賑わい、そして8月にはシーズン・エンド! 9月から翌年度のクラブ、シャフトの新製品のテストをはじめて、データ取りを年末まで続けていく。これを繰り返してすでに十余年になります。これらの経験とデータからクラブ、クラブセティング、理想弾道等、色々と皆さんの上達に役に立つお話を、今後質問などにお答えしてお話させていただきたいと思います。ドシドシご質問ください。

今回はゴルフゲームについて考えてみたいと思います。

ゴルフ・コースは設計者により緻密に計算され造られています。木や池、地面の傾斜、バンカーやグリーンの位置、すべてがデザインされているのです。風向きでさえ事前にデータ計測されてホールのレイアウトに考慮されています。ラウンド中は前に前にと意識が行きがちですが、ホール・アウトされた後にティー・グラウンドを振り返って見てください。ティーから見えなかったところが見え、設計者の意図がわかるホールも数多くあります。すべてが緻密に計算の上デザインされているからこそゴルフが「ゲーム」になるのです。「ゲーム」ですから、戦略、攻略法を考えることが大切です。「簡単!コース戦略、攻略法」というものががあれば良いのですが、コース攻略法はプレイヤー各自のスキル、飛距離と持ち球によってが違ってくるので一概にはいえません。

ゴルフを「ゲーム」として楽しむためには、まずコースを分析することが大切です。皆さんは18ホールの各ホールに難易度が設置されているのがお気づきですか。上達すると難易度がやさしいホールでパーが取りやすくなっていきます。設計者は難易度の高いホールほど、罠を多く仕掛け、距離にかかわらずパーを取りづらくしています。その罠ににかからないようゲームプランを立てていくのです。そうすると、例えば、自分には170ヤードから200ヤードが苦手など、自分の不得手、さらには何が足りないのかが見えてくるはずです。それは道具でカバー出来るもかもしれませんし、技術なものかもしれません。ゴルフはミスのゲームですから、ミスを分析して、その傾向データをもとに、プロや道具の専門家にアドバイスを聞いてみるのが上達の近道になると思います。

プロフィール
大野克己、Pete’s Golf Pro Shop

プロ、トップアマチュアを含み、年間フィティング1500人以上、リシャフト3000本以上を行う。2009年 U.S.Open(Bethpage Black )時には、本戦期間中のUSGA初の公式クラブ・ワークスサービスとして参加選手を支える。さらに高度で専門的なクラブの話は、ブログ「玄人ゴルフ」(現在休眠中ですが再開予定)で掲載予定。再開時はその時お知らせしたいと思います。

連絡先:(516)248-6891