飛距離を伸ばす!クォン教授の「Two Step Golf Drill」

ゴルフ愛好者にとって、飛距離向上は永遠のテーマです。誰もが「もう少し飛ばせればなぁ」と思ったことがあることでしょう。飛距離向上の鍵は、クラブのヘッドスピードを高めることにあります。テキサス・ウーマンズ・ユニバーシティのゴルフ人間工学で世界的に有名なクォン教授の研究室を訪れ、その秘訣を垣間見る機会がありました。クォン教授はさまざまなデータ分析から、ヘッドスピードの向上には「地面反力のベクトルの強度」と「重心位置」の相乗効果が関連していると指摘しています。

*地面反力とは、足が地面を踏み込むときに反対方向に押し返される力です。

クォン教授の研究では、ダウンスイング時の「地面反力のベクトルの強度」と「重心位置」の掛け算がヘッドスピードに大きな影響を与えることを示しています。図1を見ると、赤いラインが両足の地面反力のベクトルの左右の合計値を示しています。このラインが長いほど、選手はより強く地面を踏み込んでいるということです。そして、ここから支点(重心位置)からのモーメントアーム(支点からベクトル作用点への垂直距離)が長いほど、地面反力を効果的に回転力に変換できると、クォン教授は説明しています。

図1:モーメントアーム、ベクトル、支点

この価値を高め、つまりヘッドスピードを向上させるのに役立つトレーニング方法が「Two Step Golf Drill(ツーステップゴルフドリル)」です。

地面反力を向上させるには、しっかりとした重心移動をしながら踏み込むことが重要です。このトレーニングは、比較的シンプルで特別な道具が不要ですので、どなたでも試すことができます。ステップ1:フォロースルー(スイングの最終段階)の位置から、右足で一歩踏み込み、全体重を右足に乗せつつ、クラブをバックスイングします。その後、左足を一歩前に踏み出してクラブを振り抜きます。ステップ2:同じくフォロースルーの位置から、クラブを引き上げながら左足を前に踏み出してクラブを振り抜きます。これは野球のバッティングのような感覚で行います。ステップ3:ステップ1と2の感覚を活かしながら、通常通りのゴルフスイングを行います。クォン教授はこのトレーニングにより、ヘッドスピードが向上すると研究データを報告しています。

図2:ステップ1
図3:ステップ2
図4:ステップ3

ゴルフスイングにおいて、軸の安定性は非常に重要視されますが、上級者になるほど地面反力を効果的に利用しています。つまり、脚力をダイナミックに発揮しているのです。脚を単なる支持材としてではなく、力を最大限に活かす必要があります。この上で、しっかりとした軸作りができることが大切です。多くの人はゴルフスイングを学ぶ際、静止画像やフォームだけに注意が向かいがちですが、地面反力や脚の力がどのように関与しているかは見逃されがちです。クォン教授のアプローチは、運動力学の観点から非常に理にかなっており、ゴルファーにとって有益な情報と言えるでしょう。飛距離を伸ばしたい、スキルを向上させたい方は、「Two Step Golf Drill」を試してみてください。

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