「座りっぱなしがゴルフを下手にする」

パンデミックが起き、早1年経ってしまいました。この1年間で生活環境がガラッと変わってしまったという方も多いのでは無いでしょうか?理学療法士として1番の懸念は社会全体が運動不足に陥ったこと、そして座っている時間が飛躍的に増えたことです。

多くの方が在宅勤務を行なっているニューヨークでは一日中家から出ることなく、パソコンの前でオンラインミーティングに明け暮れているという方も少なく無いと思います。

新型コロナ以前から、座りすぎ社会の健康への悪影響に関してはNew York Timesなどが「座ることは喫煙と同様に悪い習慣」「一日中座っていることは癌の死亡率をあげる」といった記事で警鐘を鳴らしていまました。しかし残念ながら座りすぎ問題はコロナ禍によって加速してしまいました。

さて座りっぱなしが害を及ぼすのは健康だけではありません。ゴルフも下手にしてしまうのです。

この理由を筋肉のアンバランスという点からお話ししたいと思います。

筋肉や靭帯などの軟部組織は適度な伸び縮みが無いと固まってしまったり、逆に伸び切ったりしてしまいます。こうした軟部組織の病的な状況は数日や数週間同じ姿勢でいても起きることでは無いですが、数ヶ月〜数年と続けると起きてしまいます。

図1:ヒップフレクサー、ヒップエクステンサー

座っている時の姿勢を想像してみてください。「ヒップフレクサー」と呼ばれる膝を胸の方に曲げる筋肉郡が縮まった状態になり、逆に「ヒップエクステンサー」と呼ばれる膝を後ろに蹴る筋肉が伸び切った状態になります(図1)。

筋肉がこのように偏ってしまうと股関節、骨盤周りの筋肉のバランスが崩れてしまい、結果的に「出っ尻」のような姿勢に陥りやすいです(図2)。

図2:出っ尻姿勢

「出っ尻」の悪い点は、①骨盤を前傾に傾け股関節の可動域を制限する、②腰の筋肉を緊張させる、③コア筋が使えなくなる、といったことがあげられます。

このような状況に陥ると正しく骨盤や股関節、そして背骨の回旋(捻ること)が非常に難しくなってしまうのです。

ゴルフは体を捻るスポーツです。体のアンバランスが起きてしまうと本来筋肉的には柔軟性があるにもかかわらず、骨格や関節のポジションから捻転が出来づらい体になってしまいます。また、このような状態で無理に捻ろうとすると怪我をする原因にもなります。

筋肉のアンバランスにより姿勢が崩れてしまうまでには何ヶ月、何年もの年月の蓄積を要します。しかし、チリも積もればでは無いですが、いつの間にか習慣化した座り生活があなたのゴルフの上達の妨げになっているかもしれません。こまめに立ち上がって体を動かしたり、スタンディングデスクを上手く活用したりといった日々のチョットした心構えで、体のアンバランスを防ぎ、ゴルフが下手になることを防ぐことができるのでは無いでしょうか?

髙田洋平

図1:ヒップフレクサー、ヒップエクステンサー

図2:出っ尻姿勢

Bonnie Briar Country Club