ダウンスイング時の身体の回し方

前回の記事ではトップの作り方をご紹介したので、今回はダウンスイング時の身体の回し方をご紹介します。

野球のピッチングフォームやゴルフのスイングには、共通する身体の動かし方があります。それは、上半身と下半身の捻転から生じる力を解き放つという動作で、このことにより投げる・打つという動作にスピードとパワーが伝わります。この捻転によって作られる上半身と下半身の捻転差のことを『X-factor』と言います。

X-factor

図1野球のピッチングフォーム

例えば野球のピッチングの場合、振りかぶってからボールを投げる瞬間まで肩の角度を変えず、腰の回転を先行させます。そして捻転差を大きくしてから身体をターンし、ボールを投げます。図1はピッチャーの切り返しを表していますが、右と左の画像では肩の向きがほとんど変わっていないのに対し、右の画像では投手の腰が先行し、腰の角度が大きくなっているのがわかります。Torque Atheletic Performanceの三森真吾ピッチングコーチによると、この捻転差を作ることのできない投手はそれができる投手に比べて投げる打球のスピードが遅いようです。適度な捻転差をピッチング動作に組み入れていくことにより、投手は投球動作にスピードとパワーを得ることができるのです。

ゴルフスイングにも同じことが言えます。ゴルフの場合、トップを作る際にX-factorを作り、このX-factorを保ちながらクラブを振り下ろすことでスイングにスピードとパワーを生み出すことができます。ダウンスイング時、X-factorを保つことができると身体は腰、胴、肩、腕、クラブ、と順番に回ります。このような順番で身体を回しクラブを振ることができるのが理想的なのですが、アマチュアの方の多くはこの順番の通りにクラブを振り下ろせていないようです。身体の各パーツの回る順番が正しくないためCompensation(埋め合わせの動き)が入ってしまい、スイングに無駄な動きが生じてしまいます。トップでX-factorを作り、腰から腕へと正しい順番で身体を回すことができると腕の力に頼らないスイングができるようになります。

図2

それではX-factorを意識しつつ、どのように身体を正しく回せばよいかについてお話しいたします。

棒を2本用意し、実際に正しい身体の回し方をやってみましょう。

図2のようにズボンのベルトを通すところに棒を通し、胸にも棒を持ちます。この状態からトップの形を作ると、腰と肩に持った棒でXができます。これがX-factorになります。ここから肩を動かさないように気をつけながら、胴の筋肉を少しストレッチするように腰だけをほんの少し回します(X-factor stretch)。するとほんの少しですが、X-factorの度合いが大きくなります。ここからX-factorの角度をキープしながらインパクトまで身体を回します(図2参照)。インパクトでは肩が正面を向き、腰が30-40度回転していればOKです。このように、トップからインパクトまでX-factorの度合いをキープしながら身体を回転させるのがポイントになります。注意したいのがX-factor stretch時に腰を必要以上に回しすぎてしまう、もしくは腰を回すときに肩も一緒に動いてしまうことです。どちらもX-factorの度合いを崩してしまう原因となってしまうことなので、気をつけましょう。

図3

身体の回し方がわかったら、今度は実際にクラブを持って同じ体の動きをしてクラブを振ってみましょう(図3)。クラブを持ち、トップを作って止まります。そしてダウンスイングを腰を回して始動し、フィニッシュまで一定のスピードでスイングします。X-factorを意識しすぎて腰と肩の捻転差を大きくしすぎてはいけないので、腰の回転に釣られて肩が回ればOKです。

このようにしてX-factorを作り、正しく身体を回し、効率の良いダウンスイングが作れると方向性や飛距離が向上します。より効率よいダウンスイングをマスターし、どんどん飛距離を伸ばしましょう!

宮崎太煇プロ

宮崎太煇:Biography
日本での学生時代、テキサスのハンクヘイニーゴルフランチにて当時世界最先端のスイング理論を学び、渡米を決意。NY市立大学院でExercise Science & Rehabilitationを専攻し、より効率的に新しい身体の動きを習得するための運動学習の分野を研究。TPI Lv.1、USGTF、AFFA、ACEパーソナルトレーナー。Port Washingtonにインドアゴルフスクールで絶賛レッスン中。質問がある方はt.miyazaki.agi@gmail.comまで