バランス

図1バックスイング

 今回のコラムのテーマは「バランス」です。意外かもしれませんが、バランスもゴルフスイングに重要な役割を果たします。二足歩行•動作を行う我々人間にとってバランスは不可欠です。そしてゴルフもその例外ではありません。プロのゴルフスイング時の体重移動は驚くほどダイナミックです。バックスイングでは右足に、そしてフィニッシュでは左足に体重の大部分が移されています(右打において)。つまり片足で安定したバランスを取れないと、バックスイングまたはフィニッシュでスイングが崩れてしまうわけです。野球の王貞治さんの一本打ち打法は有名ですが、あのように身体を捻転させた状態で、足一本でバランスを保てるだけの身体機能が大切になってきます。しかも、野球と違い、ゴルフスイングは平らな場所だけで行うわけではありません。ゴルフ場の様々な傾斜に合わせ安定したバックスイング、そしてフィニッシュが出来るだけのバランスが必要になってきます。

図2フィニッシュ

バランス能力を測るために次のテストをしてみてください。まずクラブを持ちバックスイングをします。その状態で図1のようにゆっくりと左足を浮かせ、片足立ちになってください(多少の体重移動は必要です)。10秒間バックスイングを崩さず保つことが出来ればオッケーです。次に同じようにフィニッシュで右足を浮かせ片足立ちになってみてください(図2)。10秒間フィニッスが崩れなければオッケーです。もし片足立ちになる時にグラグラしてしまう、大きく姿勢が崩れてしまいバックスイングが保てない、10秒間保てない、または全く出来ないといった方はバランスに問題があります。

年と共に、三半規管、関節の感覚神経、そして筋力の低下などによって、バランスというものは失われていきます。しかし、トレーニングをし 鍛えてあげればバランスは必ず向上します。例えば太極拳を普段から行っている人は、行っていない人と比べるとバランス能力が高いことが知られています。太極拳のように片足でバランスをとったり、ゆっくりと体重移動を行ったりすることはとても良いエクササイズです。

図3片足立ち

もちろん毎朝太極拳を行うのもよいのですが、ここではより簡単に出来る方法を紹介したいと思います。まず、図3のように真っすぐ立ち片足立ちになります。この時に軸足ではない足をグッと胸の方に引き寄せてください。この状態で20秒静止です。これを両足共に3回程度行いましょう。ここから始めます。しばらくたつと簡単に出来るようになると思います。そしたら今度は徐々に捻転を加えます(図4)。最終的にはバックスイングまたはフィニッシュの形で保てるようになりましょう。もしそれも簡単に出来るようになったのなら、目をつぶって、または軽い傾斜の上で行うなど難度を上げていってみてください。 (*転ばないように十分に安全の確保を行ってください)

図4片足立ちローテーション

バックスイングが安定せず毎回違った感じになってしまう。フィニッシュで体重が左足に乗らず、毎回不安定になってしまうといった方。そのような悩みをお持ちの方は柔軟性、筋力、または技術の問題だけでなくバランスの問題があるのかもしれません。普段から少しずつバランストレーニングするとスングが安定したものになります。

2011年から始めた「ゴルフに異議あり」も皆様のご支援のお陰で3年半続させていただいております。来月からこの連載は宮崎プロを交え、更なる発展をしたいと考えていますのでこれからもよろしくお願いします。

Pebble Beach #6