肩の健康:四十(五十)肩
こんにちはFuncPhysioの高田です。FuncPhysioにはありとあらゆる疾患を持った患者さんがいらっしゃいますが、中でもこの数年、四十(五十)肩の患者さんが多いです。アメリカ人の方々も多く来院されますが、四十(五十)肩は日本人(日系人も含む)の方に圧倒的に多く、過去にアメリカ人でこの症状を診たのを思い出すのが困難なぐらいです。統計データでも、四十(五十)肩は日本人の2−3割(多い統計では6割近く)ぐらいの方に起きるとされているのに対して、アメリカ人(英語ではFrozen Shoulder)の統計データでは2−5%程度とされています。ここではなぜアメリカ人に比べ日本人に多い疾患なのかは置いておいて、四十(五十)肩の病状の原因、プロセス、治療法などについてざっとお話しさせていただきます。
まず原因ですが、実は四十(五十)肩の原因は学術的にハッキリわかっていません。患者さんご自身も、肩が痛く夜も寝られない、服も着ることができないなど困っていらっしゃると思いますが、原因不明で、治療効果もなかなかでないこの疾患は我々医療従事者泣かせでもあります。統計的には四十から六十代に多く、糖尿病を患っている人や女性に多いこと、利き腕ではない方がなりやすいことは統計的に出されています。しかしながら「これ」が原因というものは学術的に解明されていません。私の経験上、肩関節やその周りの肩甲骨、肋骨、胸椎、頸椎(首)の動きが悪く肩関節にもともと負担をかけ続けている人が患いやすいようです。運動やストレッチを日々行なっていても、こうした運動連鎖に問題があると肩関節に負担がかかり炎症を引き起こすと考えています。例えば腕をあげようとした時に引っかかる、ある方向に上げづらい、クリック音がするなどはその例です。四十(五十)肩は突然発症すると言われていますが、私はこうした肩関節への負担の蓄積が重なり、きっかけ(例えばホルモンバランスの崩れなど)によって炎症が起きるのではないでしょうか 。
四十(五十)肩のプロセスは①炎症期(Inflammatory phase)、②固まる期(freezing phase)、③慢性期(frozen phase)、④回復期(thawing phase)とはっきりしており、全ての患者さんが同じプロセスをたどります。とはいえ、回復までの時期や後遺症の有無に関しては個人差があります。一年で半数ぐらいの人がよくなりますが、長い人では3−4年も続いて回復までに時間が大変長くかかってしまうケースも多々あります。痛みが無くなった後でも、肩の可動域が著しく失われるなどの後遺症を患っている人もかなりの割合でいらっしゃいます。このように四十(五十)肩の原因は明確ではないのですが、私の経験上、肩関節やその周りの肩甲骨、肋骨、胸椎、頸椎(首)の動きが悪く肩関節にもともと負担をかけ続けている人が患いやすいようです。運動やストレッチを日々行なっていても、こうした運動連鎖に問題があると肩関節に負担がかかり炎症を引き起こすと考えています。例えば腕をあげようとした時に引っかかる、ある方向に上げづらい、クリック音がするなどはその例です。四十(五十)肩は突然発症すると言われていますが、私はこうした肩関節への負担の蓄積が重なり、きっかけ(例えばホルモンバランスの崩れなど)によって炎症が起きるのではないでしょうか 。いずれにしろ一度起きてしまうと非常に厄介な疾患です。
初期炎症の時期に最も痛みが出ますが、この時期の対応が一番大切です。この初期炎症を出来るだけ早く収めることがその後の酷さや回復期間に深く関わってくるからです。この時期に患者さんが来てくれるのが一番良いですが、私の元を訪ねてくる患者さんが必ずしもこの初期炎症期とは限りません。すでに1−2年以上肩がおかしかったりして一向に良くならないのでやっと私の元を訪ねてくる患者さんも多いですね。そうした方は初期炎症期の対応を怠ったかうまくいかなかったかで疾患が長期化しているケースがほとんどです。
初期炎症に関しては、多くの医療従事者は対症療法的に抗炎症剤や痛み止めを使いますが、四十(五十)肩の炎症は一般的に非常に激しい炎症であり、一般的な抗炎症剤や痛み止めでは効かないことが多いと思います。私は痛みや炎症が収まらない場合、整形外科のお医者さんにステロイド注射を頼むことが多いですが、それでも効果がでないことも多く、本当に医療従事者泣かせな疾患です。私は個人的に四十(五十)肩に限らずどのような疾患に対しても体のバランスを整え、効率的な動きを取り戻すことで痛みや疾患を治し、不必要な手術や注射は避けたいという考えています。四十(五十)肩も同じで、繰り返しステロイド注射は組織を弱めてしまう問題もあるので、出来るだけ避けた方が良いと考えますが、どうしても収まらない炎症は勧めることもあります。
最近FuncPhysioで導入した最新鋭のM6レーザーでは副作用がなく、抗炎症効果、痛み止め効果、さらには組織回復効果もあり、四十(五十)肩の初期症状に非常に効果を発揮してくれています。このレーザーは回復期にも使えてとてもよいですが、それでもやはり炎症をコントロール出来ないこともあります。この時期に無理に動かしたりストレッチをしてしまうと炎症がさらに酷くなり長期化する恐れもあるので気をつけなければなりません。
さて、この困難な初期炎症が収まると肩が硬く動かなく固まる期に入ります。初期炎症中に痛みで動かせなかったり、炎症によってコラーゲンが硬く分厚くなってしまい、肩関節の組織が硬直して実際に動かせなくなっていくのがこの時期です。残念ながら炎症期が終わったらすぐに良くなるということは四十(五十)肩 では無いです。先に話したように①から④のプロセスを期間は異なりますが皆が経験します。我々フィジカルセラピストはここからはストレッチやマッサージ、間接モービライゼーションなど可動域を戻していくような治療を進めることができます。多少痛みは伴いますが頑張って可動域を戻して行かないと治ったつもりでも肩の動きが著しく低下してしまうことが少なくありません。さらに体のバランスを整え、効率的な動きを取り戻すことで再発を防ぐことも大切だと考えています。
このように初期炎症期や固まる期にきちんと対応することでその後の回復に差が出るのですが、そのようなことに関しての患者さんのご理解は薄いようです。というのもおそらくあまりに身近に起きていることと、進行がゆっくりなことから「四十(五十)才ぐらいになったら皆んなが経験すること」「親もやったけどそのうち治った」などと思われるからだろうとおもいます。その結果初期対応が遅れたり、無理に動かし続けたり、無理なストレッチする結果炎症を酷くさせてしまい問題を長期化させてしまっていることが多々あるのは残念に感じます。初期の段階では他の肩の疾患の場合もあります。その対応の仕方も変わってきます。
フィジカルセラピーも即効性は無いものの肩の疾患の診断と、時期に応じた治療、そして可動域の回復、そして再発防止などにお役に立てます。「あれ?肩がおかしいな」と感じたら我慢せずに一度診てもらうことをお勧めします。