腰痛シリーズ第2弾:腸腰筋
腰痛はゴルファーに最も多い怪我です、と同時に腰痛は現代人の生活習慣病といっても過言ではありません。運動不足という問題も一点あります。しかし一番の問題は「座り社会」ではないでしょうか? 考えても見てくだい、我々は小さな頃から学校に行きます。そして一日6時間またはそれ以上の時間を、ジッと椅子に座るように強制されるわけです。社会人になっても仕事によっては一日のうち大半を椅子の上で過ごす人も少なくありません。
人間の身体が元々長い進化の過程で座るために進化してきたというのであれば、今の社会で起きている腰痛などはほぼ無かったでしょう。 しかし、我々は二足歩行をし、狩猟採集生活を目的に進化してきました。要するに「動く」という動作を基本に進化してきたわけです。そのため長時間座り続けるということに人間の身体は向いていないのです。
では長時間座ることがなぜ腰痛につながるのでしょうか?幾つか原因はありますが、一番の問題は腸腰筋(図1)の短縮です。腸腰筋とは腰椎から股関節につながる大きな筋肉です。内蔵よりも深い位置にあり体幹を支えるインナーマッスルで,
歩く、走る、ゴルフスイング時とほぼ全ての動きでこの筋肉は必要不可欠な働きをします。この腸腰筋に問題が起こると腰に負担をかけ、いつの間にか腰痛を引き起こしてしまうのです。そして座ることは腸腰筋の短縮につながるのです。もちろん、「座るな」と言っているわけではありません。長時間座り続けることに問題があるのです。
人間の身体を機械に例えると、動くことによって機器に潤滑油を回し、滑らかな動きを保っていると考えてください。しかし、長時間じっとしているとその潤滑油が回らず、錆び付いてしまいます。これと同じような現象が身体で起きるのです。長時間同じ姿勢で居続けると、筋膜が癒着し筋肉の短縮につながってしまっているのです。
さて、次のテストをしてみてください。あなたの腸腰筋の状態が分かると思います。固めのベッドまたは台に太ももがはみ出るように仰向けに寝ます。片膝を両腕で胸に引きつけた状態でもう片方の足をリラックスしてください(図2)。この時腰が反らないように気をつけましょう。太ももが水平またはそれよりも下にくればオッケーです。しかし、図3のように太ももが浮いたままの場合、腸腰筋の短縮が考えられます。今現在腰痛の原因、または今後腰痛を引き起こす可能性が十分考えられます。また、腸腰筋はゴルフスイング時にも重要な役割を果たすので、こうした筋肉の短縮はスムーズなスイングの妨げにもなります。
では効果的なストレッチを紹介しましょう。図4のように片膝立ちになります。そこから矢印の方向に骨盤を回転させるようにすると股関節の前あたりにストレッチを感じられるはずです。10秒位ストレッチを行い10回ほど繰り返します。決して腰を反らすことの無いように気をつけてください。大きな筋肉ですのですぐには効果は出ないでしょうが、毎日やり続ければ必ず良くなっていきます。
現代社会は幼少期から長時間座ることを強いられます。いつの間にか徐々に身体は本来の柔軟性を失い、気づかないうちに腰などに負担をかけています。もし図2のように腸腰筋の短縮が認められたなら、改善するように努力してみてください。腰痛の改善、またゴルフスイングの向上につながると思います。