伸展が股関節の動きのKING
前回は肩の可動域(四十肩・五十肩)についてお話ししました。そこで今回は股関節の可動域についてお話ししていきたいと思います。股関節は、肩関節と並んで、非常に可動範囲に優れた構造になっています。例えばひじの関節を動かすといった場合、基本的には曲げる・伸ばすという動作しかありません。それに比べて、股関節は曲げ伸ばし、開脚・閉脚、回旋、という360度すべての動きに対応し、複雑なゴルフスイングの動きを支える土台となる大切な関節です。もちろんゴルフは捻転運動ですので、捻る動作(回旋)の可動域が大切なのは言うまでもないのですが、今回は捻転よりも大切な脚を後方に動かす「伸展」の可動域についてお話ししたいと思います。
座ることの多い現代社会において、座っている態勢で身体が固まっていってしまうことは少なくありません。座っている状態では股関節は屈曲した状態が続き、知らず知らずのうちに伸展の可動域を失ってしまうことが多いです。その結果、知らず知らずのうちに反り腰(図1)や、スウェーバック姿勢(図2)になってしまう方が多いと感じています。こうした姿勢に陥ると、ゴルフに必要な回旋可動域可動域が失われ、結果的にゴルフのパフォーマンスを落とすことになってしまいます。
まず以下のテストをしてみてください。もし出来なかったり、痛みを感じる場合は股関節の伸展可動域に制限があります。
テスト1、図3のように床に寝ます。両膝を抱えて胸の方に近づけてくださいこの時に背中が隙間なくペッタリつけます。片方の脚を伸ばして床に付けてください。重力で落とすような感じで力を入れないようにしましょう。この時に太ももの裏、そして背中が浮かずにペッタリと床に接地することが出来ればオッケーです(図4)。反対の脚も同様に行ってみましょう。
テストをやってみて意外と可動域が失われている事に気づいた方も多かったのではないでしょうか?身体は他の箇所から動きを借りてきたりして、歩いたり、走ったり、またはゴルフをしたりと言うことが可能なので日常では股関節に制限があることに気づかないかもしれません。しかし股関節の伸展可動域が減少してしまうと、知らず知らずにゴルフのパフォーマンスが落ちたり、腰痛の原因になったりもします。こうした身体の基礎的な動きを保つことが怪我予防の秘訣です。
もし股関節の伸展が失われている方は図5のストレッチを毎日行うと伸展可動域が広がりますので数ヶ月間行ってみてください。髙田洋平
図5:ストレッチ:片足を椅子の上に置き、ズボンのチャックを胸の方に向けるようにしながら前に押し出します。この図では右脚付け根の前方にストレッチを感じるはずです。呼吸をしながら30秒ほどストレッチをし5回繰り返しましょう。