腰痛の原因part 3:懐の深さとは

前回、前々回号で反り腰から来る腰椎椎間関節への圧迫増加のお話、そしてその対処方法を紹介しました。今回はその流れで「懐の深さ」についてお話ししたいと思います。懐が浅い人は腰痛にもなりやすいですので腰を痛めやすい人も参考にしてください。

広辞苑には懐の深さは「相撲で、四つに組んだ時、胸のあたりが広くて相手になかなかまわしを与えない」とあります。この様に格闘技やスポーツにて懐が深いということは大変重要な要素だと私は考えています。さて、実際この懐の深さとは一体なんなのか、ゴルフとどういう関係があるのかをゴルフのアドレスの姿勢を取って話してみましょう。レッスンでアドレス時にはつま先重心が良い、またはかかと重心が良いという議論がよく起きます。なぜでしょうか?

図1:足首関節の真上に股関節が乗っている良いアドレス(写真はGolfChannel.comより)

トッププロの構えの共通点の一つに股関節が足首関節の真上に来るというのがあります(図1)。試しに、鏡の前で同様にアドレスをして見ましょう。この様に構えた時にあなたの重心はどこに来ますか?多くのアマチュアの方は前方に倒れる様な感じで、つま先側に体重が乗ってしまう方が多いのではないでしょうか?ですので形だけプロを真似するとつま先体重になるので、つま先重心が良いというアドバイスが生まれます。しかしこれはアマチュアの多くは懐が狭く、形だけプロの様なアドレスを取るとつま先重心になってしまうという結果に過ぎないです。逆に、トッププロは同じ形でアドレスしても、懐が深いためキチンとかかとに重心を感じるプロが多いです。ですのでトッププロの感覚で答えてもらうとかかと重心というアドバイスが生まれます。正しいアドレス時の重心は「懐を深く、かかとまで重心を感じられるアドレス」ということです。

図2:背中の広がり

では具体的に懐が深いアドレスとはどういうことなのかを体験して見ましょう。図1の様に足首の上に股関節がくる様にアドレスをして見てください。ここから図2の様に、頭、グリップ、足首、股関節の位置は変えず、グリップの延長上にある背中を、呼吸をしながら後ろに引いて見てください(背中が広がり、丸まった感覚に近いと思います)。どうですか?背中が広がるとともにかかとに体重が乗って行きませんか?この背中が後ろに広がる度合いが懐の深さとの関係です。普段背中を縮めて使っている方は相当難しい動作だと思います。

前傾姿勢を保って、懐を深く保つことができる。すなわち背中を広く、膨らませることが出来る方は、股関節が足首関節の真上に位置したアドレスでかかとにもしっかりと体重が乗ります。これが最もゴルフに(またはすべてのスポーツに)適した構えだと私は考えます。この懐の深さはエクササイズすることによって習得出来ますので、興味のある方は前回号(2022年10月号)でのエクササイズがそれに当たりますので参考にしてみてください。髙田洋平

Shinnecock Hills Golf Club #9