股関節のエクササイズ
前回のコラムで肩、そして股関節の柔軟性がゴルフには最も大切だというお話をし、そして肩の柔軟性を向上させるエクササイズを紹介しました。今回はその続編として、股関節の柔軟性の大切さをゴルフスイングの観点から検証し、そしてそのためのエクササイズを紹介したいと思います。(↑重複するため単語をいくつか足しました。)
前回の繰り返しになりますが、身体の中で回転(捻転)を生み出せる主な箇所は股関節、そして胸骨、肩甲骨を含む肩です。回転系のスポーツでるゴルフにおいて股関節の柔軟性はスイングの土台を作り、またパワーの源となる重要なポイントです。よく飛距離を伸ばしたいのだけど、どこを鍛えたら良いか?といった質問を受けます。その答えとして私が 答えるのが股関節です。
スイングをみるとバックスイングで右股関節に十分に体重が乗り、スムーズに身体を回転させる。そしてバックスイングからダウンスイングにかけ股関節が身体をリードするように切り返し、フォロースルーで左股関節に体重が乗り身体を回転させる。当たり前のことの様に聞こえますが、もし股関節が固く、または痛みなどでその柔軟性が失われると、スイングの基本が崩れます。その結果バックスイングで身体が前に突っ込んだり、または伸び上がったり、フォローで身体が突っ込んだりまたのけ反ったりと様々なスイング欠陥を招きます。
さて、股関節とはどのような関節なのか見てみましょう。股関節は肩関節に次ぎ柔軟性にとんだ関節で、3軸すべての面に対して動くことが出来ます。多くの方は股関節の柔軟性というと前屈を思い浮かべる方が多いと思いますが、ゴルフにおいて大切なのは内部・外部回転です。これはヒザを内側に回したり、外側に回したりする動きのことです。
この内部・外部回転を向上させるエクササイズを紹介する前にちょっと余談をしたいと思います。11月2日付のNY Timesで女性のヨガ経験者が股関節のダメージを起こし、手術を受けるケースが多いという 記事が出ました。私個人の経験でもヨガで怪我をする患者が増えていることに気づきます。決して間違ってとらえてほしくないのが、ヨガが悪いと言っているのではありません。正しく行えばヨガはすばらしいエクササイズですし、その利点は多くあります。ただ無理なストレッチ•エクササイズが問題を起こしているだけのことです。個々人の関節には差があります。骨の構造上ある一定の方向には曲がりづらくなっている関節、また長年運動をしなく硬直してしまった関節などが例です。そうした関節を無理に“ストレッチ”することは怪我の元です。また逆に先天的、後天的に関節が緩い方もいます。そうした関節を可動域の限界に持っていくことも関節炎など 原因になります。ポイントは自分の身体に耳を傾け、無理をしないということです。今回紹介するエクササイズは大変簡単なものです。 一日20分ぐらい行えば来シーズンには必ず効果が得られると思いますので継続的に行ってください。
まず図1のように片方の膝を立て仰向けに寝ます。そして膝を内側外側にゆっくり倒していきます。このとき始めは小さな幅から徐々に大きな幅にしていくようにゆっくり行います。無理に押したりせず、膝をコントロールするようにスムーズに行うことがポイントです。一つの足の位置で5分程度行ったら、足を外に置いたり、また近くに置いたりと足の位置を変えてください(図2)。自分が最も難しいと思う足の位置を重点的に行いましょう。足の位置を変えながら片足10分程度、全体で20分ぐらいですが、テレビを見ながら、または本を読みながらでも簡単に行えるので毎日継続してみてください。3ヶ月後には股関節の柔軟性が向上しているはずです。